「ネバーギブアップ、継続は力なり!」

― 30期生の卒部に当たって ―

総監督 大津 保男

 ブラックジャガーズとしての貴重な節目の時期を経験して、ここにめでたく卒部することとなった君たちBJ30期生に、改めて“おめでとう!”と言わせてもらいます。

今年の2月16日に開催した「BJ創立30周年のつどい」は、ある意味で、卒部式よりも一足早く君たちのために行った、卒部のセレモニーであったとも言えます。特に、加藤会長にとっては、ちょうど我が子の卒部の年と重なったことで、我々以上にそういう気持ちが強いのではないでしょうか。

BJの長い歴史の一コマに、縁あって君たちが30期生としての足跡を残したということを、どのように認識してくれているか今は知りたいところです。

思い起こすと、30期生は波乱の学年だったような気がします。大沼君、林君という1・2年生のスタート時のメンバーがいなくなり、空白の学年となっていた時のことでした。入部したばかりの5年生の加藤慶一君(27期生)が26期生と一緒に活動していた試合会場に、両親に連れられてよく遊びに来ていた弟の広貴君。彼が、再三のアプローチでやっと入部してくれたのが、確か2年生の秋。それが実質的な30期生のスタートとなりました。

その後、徐々に仲間も増えて一時期は学年チームとして活動できる雰囲気となり、みんな大いに期待していました。そして、青・黒のストライプのマイユニフォームを揃えるに至ったのも束の間、残念ながら、ある事情で高学年となってからの離脱が続いてしまいました。その他にも、運悪く飯田太一君の手首骨折というアクシデントなども重なって、思ったような活動ができず、自ずとフットサル中心になっていきました。

だが、これも考えようで、今思えば一人ひとりのレベルアップやチームワークの強化ということに、多少なりともつながっているのではないでしょうか。

6年生となってからの夏合宿は、30周年ということもありBJも大奮発し、山中湖交流プラザ「きらら」での練習となりましたが、こういう素晴らしい環境でプレーできたのもBJでサッカーを続けていたからこそでしょう。

また、学年行事として企画された9月初旬の八ヶ岳遠征では、DENでの宿泊、八ヶ岳連峰を望む芝生の広場での練習、きれいな体育館での強豪チームとの交流などを通じて、久しぶりに君たちのマイユニフォーム姿を見る機会となりました。8月下旬に入部したばかりのジックサン・オーガスティン君も加わり、全員が揃ったこの遠征については、私にとって、30期生だけと過ごした記憶の貴重な一ページとなりました。帰路に立ち寄った「萌木の村」でのひと時も含め、皆それぞれの思い出作りができたものと思います。

こうした夏のイベントのほかにも、10月の「U−12交流招待大会」そして11月には恒例の「BJサッカーまつり」の開催ということで、我々運営側にとっては慌ただしいものでした。

厚木で初めて招聘した土屋健二さんのリフティングの妙技などが、君たちの脳裏にしっかりと焼き付いてくれて、こうした技術が日頃のたゆまざる努力の結果だということに、大いに刺激を受けてもらえたものと信じています。

一方、残念なこともありました。新年早々の県選手権大会での選手証不携帯による失格という、BJの歴史の中でも前代未聞の出来事です。小学生年代での総決算とも言えるこの大会に向けて、みんながどのくらい意識して練習してきたかはわかりませんが、直前での残念な判定は悔やまれる限りです。しかし、ものは考えよう。ポジティブに考え、こういう経験もこれから起こるであろう様々なピンチの場で、生かしてもらいたいと思います。

ところで、ここ数年、君たちの練習や試合については、コーチ陣にお任せであまり顔出ししなかったのですが、それでもたまに見るプレーには、時折目を見張るものがありました。

児玉黎君の突破力はレベルが上がり、児玉コーチの遺伝子が確実に受け継がれていることが予感されました。また、自称ファンタジスタを目指す佐藤優吾君はすっかり身体も大きくなり、相変わらずのムードメーカーとして機能し、飯田太一君は落ち着いたプレーで声もよく出ており、加藤広貴君のキック力もかなり向上していることが見受けられました。

さらに稲吉一輝君は弟の試合などでやさしい上級生として世話を焼いてくれ、ジックサン・オーガスティン君は短期間ながらも努力の結果めきめきと上達しました。中でも最後の緑野招待杯で優秀選手賞の対象となった時の、あの喜びの笑顔がとても印象的でした。

そして何よりも、キャプテン鈴木喜成君のテクニックが一段と冴えてきて、おとなしいながらも、プレーでのファイトぶりはなかなかのものとなっていました。特に、BJオリンピックで実現した、爆弾リフティングの歴代新記録の2度にわたる更新については、日頃からの地道な練習のたまものと聞き、その努力に報いようと、思わず財布のひもを緩めてしまいました。

これから中学生となり、それぞれが新しい環境で過ごすことになるわけですが、最後まで続けてきたことの重みをしっかりと受け止めて、「BJ30期生」というものに誇りを持ってもらいたいと思います。

そして、また小学校のグラウンドでの再会の時を期待して、タイトルにある「ネバーギブアップ、継続は力なり!」との言葉を贈ります。