熱い闘志と冷静な思考でサッカーを楽しもう!
― 28期生の卒部に当たって ―

総監督 大津 保男

 BJ28期生として卒部の日を迎えた皆さん、まずはおめでとう。そして、最後まで頑張ってくれて有り難う。君達とは低学年での出会いがなく、合宿・試合その他BJの色々な活動の中で一緒に過ごした時間が短いため、この日を迎えた今も、自分としては何か少し物足りない感じがしているところです。

思い起こせば、3年生の途中まで(後に荻野に移った)安藤君一人だったところに藤田君と川田君が加わり、4年生で6年生の試合にベンチ入りしてもらっていた辺りが記憶のスタートです。5年生で高木君が加わった後もしばらくは少数精鋭(?)体制で、6年生となる少し前に石川兄弟、岩松君、相澤君、佐藤君、村田兄弟と続いて入部、双子2組のおかげもあって一挙に2桁台に突入し、6年生になってから千川原君、笹本君を加えて12人となったわけです。

全体的にサッカー経験が少ないとは言え、人数が揃ってからの君達の成長ぶりには目を見張るものがあり、特にここ数ヶ月のプレーではその辺がはっきりと見て取れるようになりました。体力的にも急激に成長する時期であり、これからが本当に楽しみな段階という時にBJを卒部してしまうのは、もったいないなぁと思うばかりです。これまでの間、主として白澤コーチが君達の指導を受け持ってくれ、基礎の基礎から辛抱強く反復指導してくれました。その成果が出てきて、練習の後の5年生との紅白試合などでは、パワーやスピードに勝る6年生の貫禄を感じるような場面も多くなってきましたね。

ところで、6年生としての本格的な活動に先立って、昨年の春先に愛川ふれあいの村で1泊2日のミニレク合宿を行いました。君達の何人かは参加したと思いますが、実は、これを企画した背景の一つとして、経験の浅い6年生に、BJをこれから率いて行くという「自覚」や「責任感」を持ってもらうとともに、下級生から信頼されるよう、学年の壁を取り除いた交流の場を設けることにありました。この時には、OBも何人か参加してくれましたが、このような経験を通じてBJの長い歴史の中でのつながりを感じ取り、君達も卒部後に何らかの形でBJとの接点を持ってくれるようになればうれしいなぁと思います。

さて、28期生の特徴的なこととして頭に浮かぶのは、試合にせよ行事にせよ、種々の事情があるとは言え、まず全員が揃ったためしがないということでしょうか。日頃の学年父母責任者等の苦労は計り知れないものがあり、コーチ陣も試合当日の先発メンバーを考えるのに苦労したものと思います。チームプレーであるサッカーに関わった君達には、短いながらもこれまでの団体活動での経験を通じて、すべて物事には準備が必要であり、君達がサッカーを楽しむことのできる環境づくりには、多くの人々が関わっているのだということを改めて理解してもらいたいものです。

一方、試合に関して言えば、5月に最初の大舞台を迎えた「全日本少年サッカー大会ブロック予選」が記憶に残る試合の一つでした。南足柄の岡本SSSとの初戦で0対0と善戦しPK戦に持ち込みながらも、二人目のGK村田(晃成)君が枠をはずし、さらに5人目で5年生の塚口君が止められ、残念ながら初戦突破はなりませんでしたね。初勝利がすぐ先に見えていただけに、この時にみんなが抱いた無念の気持を、チームワークの原点として、みんなの心の奥にしまっておいてもらいたいと思います。

その後の7月の山中湖夏合宿では、4人の6年生がそれぞれのカラーを出して班長として活躍し、川田君も最終日には駆けつけてくれました。この直後に行われた「北の台サッカー団30周年記念大会」の初日には、合宿の成果が出たのかどうか、6年生7人と4年生とで参加して6年生として初の1勝を上げることができました。

それ以降の試合の中で最も印象深いのは、何といっても年明け直後に行われた「GPカップフットサル大会」です。フットサルのため6年生だけの9人が参加しましたが、予選リーグで奇跡の3戦全勝、ブロック1位で決勝トーナメントに臨むこととなりました。ここまでGKの村田(晃成)君のプレーも冴え、村田(龍成)君、藤田君、石川(怜)君、笹本君もそれぞれゴールを決めるなど、誰も想像していなかった1位抜けの快挙でした。

この勢いでトーナメントも勝ち上がりをと欲を出したものの、奇跡の3勝に気持が浮ついたのか、地元の林SCとの対戦で前半2点を失い、後半に川田君が意地の1点を返したところで力尽きてしまいましたね。まさに、「油断大敵」、「勝って兜の緒を締めよ」というところでしょうか。その後の芹が谷とのフレンドリーでは、この日の第1試合立ち上がりで幸先の良いゴールを決めた村田(龍成)君が再び締めの得点をして、合計4勝1敗でこの日を終えることとなりました。

翌日は2番目の大舞台の「神奈川県少年サッカー選手権大会ブロック予選」があり、電車を乗り継いで茅ヶ崎小で中沢SSと対戦しました。前半は浮き足だった感じで、むやみに蹴り合いとなってパスがつながらず、ちょっとした気抜きでの失点から敗退となりました。メンバー的にはベストに近い布陣ながらも、如何せん11人制での試合経験が少ないことと、特に5・6年生が混合した中でのコンビネーションプレーの経験不足が結果に出てしまったような気がします。

この辺りのことは、2月下旬の「厚木市招待少年サッカー大会」の予選リーグでも同様で、この日の3試合を通じて、チーム内での思いやりのないプレーや言動が目に付き、引率の指導陣から再三注意されていたところです。

3月に順延となり好天に恵まれた最後のチャンスの「緑野招待杯」では、十分に優勝を狙える大会ということで、コーチ陣もみんなの頑張りとそれなりの結果を期待して臨みました。結果を出すには初戦の緑野FCとの対戦が大事ということで送り出し、記念となるようなゴールシーンを収めようとレンズを覗いていた時、前半8分過ぎに石川(怜)君が右サイド遠目から放ったシュート(?)がGKの手に当たりながらもゴールに吸い込まれて待望の先制点が生まれました。

かなりの時間帯を押していながらも追加点が生まれず、後半の立ち上がり3分過ぎには似たような形での失点を許し、主催者でもある緑野のサポーターは大歓声をあげ、BJにとっては完全なアウェー状態となりました。心理的にも追い込まれた形となったBJはさらに焦り、時間は過ぎるばかり。そしてロスタイムでペナルティーエリア内の岩松君がまさかのファールをとられ、PKにより逆転されることとなったのでした。

続く2試合(大原FC、聖ヶ丘SC)とも無失点で勝利したことから、得失点差を考えても、“最初の緑野戦に勝っていれば”、あるいは“PKを取られず引き分けで終わっていたら”、今頃は優勝杯を手にできたのに・・・と「レバ」「タレ」の世界で悔しがっても後の祭りということですね。

勝ちたいという気持から生まれる闘志や闘争心、その一方で相手との駆け引きが要求されるチームプレーの組み立て、28期生の試合を観ていてつくづく感じたのは、これらのバランスの重要性ということでした。「サッカーは格闘技」、「サッカーは状況判断のゲーム」どちらも良く言われる言葉であり、どちらも真実です。君達28期生が『チームとしての相互の思いやり』をベースに、常に『熱い闘志』『冷静な思考』を忘れずに、『サッカーを楽しむ』ということができるようになって欲しいと切実に願っているところです。

また、卒部を迎え中学生となる節目の時に当たり、君達がどのような「夢」を抱き、どのようなことを「目標」に掲げているのかについて、是非ともじっくり聞いてみたいところです。親御さん、兄弟、友人、先生など、君達がここまで成長する過程で、様々な立場の人々の影響を受けてきたわけです。その結果、今ここに、一人の『意思』を持った“人間”として、どのような考え方を持つに至っているのか大変興味深く感じるのです。

これからますます感受性が強くなる時期を迎え、一回りも二回りも変貌を遂げるだろう君達には、いつまでも「夢」や「目標」を持ち続け、日々チャレンジし続けて欲しいものです。時には、自信がなくなって悩みにつぶされそうになることもあるだろうし、友人との人間関係で心を痛める時もあると思います。それもこれも人間として大きく成長するために課せられた『試練』なのです。例えどのような状況にあろうとも、BJでの活動を続けてきた君達には、自分の前に立ちはだかる困難から逃げることなく、まずは真正面から正々堂々と取り組んで乗り越える努力をしてもらいたいと願っています。そして、どうしても迷いから抜け出せず気落ちしたら、息抜きも兼ねて、どうぞ気軽にグラウンドに顔を出して後輩達と遊んで発散するなり、あるいはコーチなどからアドバイスを受けてください。逆に、誰かに話したいような嬉しい出来事があったなら、是非ともみんなに報告に来てください。

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藤田君・・キューピーみたいに愛くるしい笑顔が印象的です。責任感があるだけにチームをまとめるのに苦労しましたね。ここぞと言う場面で見せる闘志に裏打ちされたスピードやドリブル突破は、チームにとって頼れる武器でした。

川田君・・全体に目が行き届き、キャプテンとしての責任感も強く、本当に良く頑張ってくれました。ミーティングでの進行も手慣れたもので、ソフトボールとの掛け持ちながら、持ち前の運動能力と判断力でみんなを引っ張ってくれました。

高木君・・特異なキャラクターの持ち主で、指導者だけでなく誰からも、「たかぎ〜」とか「あつし〜」とか、良くも悪くも名前が呼ばれる回数はナンバーワンでした。意識を持ってやればできるのだから、物事に集中しようね、「あつし」。

石川(怜)君・・特徴ある声とユニークな会話が浮かびます。試合では得点にからむプレーも出てきました。

石川(馨)君・・まだ、怜と馨の二人の識別ができませんが、忘れ物には気をつけようね。

岩松君・・試合で相手選手をビビらせるに十分な体格は、さしずめBJの重戦車というところですが、気は優しくて力持ちという言葉がぴったりでした。

相澤君・・数えられる位しか試合は観られませんでしたが、小さいボールで鍛えた動体視力と身体の反応は素晴らしいものがありました。

佐藤君・・誰からも「あっくん、あっくん」と親しみを持って呼ばれ、練習でも精一杯頑張っていましたね。私と似たお腹の出具合が印象的でした。

村田(龍成)君・・精悍な顔つきになり、ボールキープ、ドリブル突破、パス、シュートなどバランス良く伸びてきました。得点アップにも大きな貢献をしました。

村田(晃成)・・父親の特訓や叱咤激励を受けながら、真剣にGK練習に取り組んでいる姿が印象的でした。安心してGKを任せられるようになりました。

千川原君・・左サイドから突破する姿がだいぶ板に付いてきましたね。寡黙ながらも一生懸命に取り組んでいる姿が印象的でした。

笹本君・・自由気ままな感覚や行動が、自由なボールゲームと言われるサッカーらしく、短期間ながらも明るく気さくにBJに溶け込んできました。

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BJ28期生として卒部する君達12人のさらなる飛躍を期待して「乾杯!!」