「波」から『うねり』に!!

キャラクターを大切にマイペースで変身しよう

− 24期生の卒部に当たって −

監督 大津 保男

日本サッカー界の記念すべき年である2002年、君たちBJ24期生のイレブンは、これから間もなく訪れる新しい仲間と新しい場所での新しい生活に、誰もが期待と不安を抱く節目と飛躍の時を迎えました。

思えば今から6年前、平成8年の4月に3名(馬場、勝、浅岡)が入部、そして5月に3名(白石、柳田兄弟)、その後も6月(久保田、石橋)、7月(布川、長瀬)と数を増やし続け、夏休み前までには今のメンバーのうち10名が揃っていました。その他数名の仲間は、引っ越しなどの事情で途中やむなく去ったものの、3年生の10月には新たに1名(岡田)が加わり、このイレブンが、24期生として最後まで頑張ってきてくれたのです。

これまで、仲の良過ぎることが災いし、時として緊張感の欠如につながるような場面もありましたが、君たち一人ひとりが極めて個性的であることからも、ポジションの組み合わせによっては、いつか思いもよらない目の覚めるようなプレーが見られるだろうとの期待感を持っていました。

特に、富士山ジュニアカップで頑張っている姿を見てからは、今後も、全員の目標が一致し、必要な時(ここぞという時)に、持っている力を集中させれば(波長を合わせれば)、必ず素晴らしいプレーが生まれるだろうと確信し、冬の県選手権をはじめいくつかの大会や招待試合にその期待を託してきました。だが、結果的には、必ずしも満足のいかないことの方が多かったのは残念です。

チームとして、好調・不調のギャップが大きい、得点力が乏しいと言われて久しい君たちですが、このうちかなりの部分が意識の問題であると言えるのではないでしょうか。ほんの小さなレンズでも、その向きや位置を考えて太陽の光(エネルギー)を一点に集めれば、物を燃やすことさえできるのです。

君たちに身につけてもらいたい一つ目は、このような『意識』や『集中力』というものです。

また、君たちはサッカーを通じて、これまで色々なことを経験的に学んできたことと思います。

初めてボールに触れた頃には思うようにならなかったボールが、足や身体でうまくコントロールできるようになり、ドリブルで自由に運ぶことができた時の喜び。次に、一人で突き進もうとしても、相手がいると思うにまかせず、そのうちにフェイントを覚え、さらに、相手を抜く喜びや相手の考えを読むという駆け引きを覚えた喜び。また、複数でボールを運ぶパスの大切さや、勝負どころの局面で、仲間との連携プレーによりお互いの意思を通じさせることのできた喜び。そして、イレブン全体のフォーメーションを生かしての戦術的なチームプレーでの勝利の喜び。

成長の段階に合わせて、コーチたちの助言と自分自身での試行錯誤により、技術と知恵を身につけてきたこの学習プロセスを、これからの新しい人生のチャレンジに生かしてもらいたいものです。

ミスをしない人間はいませんし、身をもって体験しているとおりサッカーは失敗の連続のゲームです。大事なことは、何事も失敗をおそれないこと、失敗はすぐに取り戻そうと自ら努力すること、いつでもチャレンジャーという意識をもつこと、五感と頭脳を生かし、工夫したことを試してみること、プラス思考で気持ちの切り替えをすること、耐えること、他人の気持ち(痛みや喜びなど)が分かることなど色々とあります。

二つ目にお願いするのは、これらのことであり、サッカーでの経験を踏まえて、これから起こるであろう様々な困難に打ち勝つため、『挑戦』し『学習』して欲しいということです。

そして三つ目は、以上のことを実現するために、水面に立つ小さな「波」で終わらずに、もっと力強くゆったりと波打つ『うねり』に変身して欲しいということです。外からの風や振動で水面に立つ波は、次々と伝わって広がるものの、外からの刺激がなくなるといずれ消滅します。しかし、波が静まった後にも残るうねりは、ゆったりとした動きながらも大きなパワーを秘めています。

このたとえを、どのように感じるかは皆それぞれでしょうが、君たちがもう少し大きくなり、この一文を再び見るようなことがあった時に少しでも考えてくれれば結構です。

最後に、BJ24期生イレブンが、ボール一個で仲間ができるサッカーをこれからも愛し続け、君たちが40年後、私と同じ位の年齢になった時にも、ボールと戯れることができるよう、みんなが健康でいて欲しいと願っています。そして、チームワークの基本である「one for all, all for one」の精神により、これからも仲間を大切にするとともに、今まで熱心なサポーターを務めてくれたお父さん・お母さん、そして長い間お世話になったコーチたちに、心から感謝の気持ちを持ってくれることを期待しています。

感動のドラマを再び!!